スイスで「人口1000万人上限」を右派政党が提案、国民投票で否決

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スイスで人口を1000万人に制限しようという案が持ち上がり、その是非を問う国民投票が14日に実施された。結果は否決だった。
投票の結果、反対が約55%、賛成が約45%だった。投票率は約60%だった。
スイスの直接民主制では、すべての重要な決定が投票にかけられる。10万人以上の署名を集めた提案は、全国的な投票の対象となる。
今回の提案は、長年にわたって反移民を掲げている右派スイス国民党から出された。
国民の間で賛否両論が沸き起こり、結果次第では人の自由な移動に関する欧州連合(EU)との協定が危うくなるところだった。そのため、政府や経済界、すべての主要政党が反対していた。
ベアト・ヤンス司法相は、否決の結果を喜び、「安定、オープンであること、信頼性の表れ」だと述べた。
スイスでは人口が2002年以降、急速に増加している。同年には約730万人だったが、現在は約910万人に増えており、うち27%がスイス国籍をもたない人で構成されている。
スイス国民党は、人口に上限を設定することで交通、住宅、環境への負担を軽減できると主張した。しかし、多くの有権者を納得させることはできなかった。同党は、社会問題の原因を難民申請者やマイノリティー(少数者)に求める傾向がある。
有権者らは、観光業、病院、介護施設などで不可欠な労働力を失う可能性を懸念したようだった。
経済界のリーダーらは、欧州単一市場への重要なアクセスを失うことを恐れた。スイス製品の半分以上はEU向けに販売されており、欧州市場へのアクセスは、欧州人の自由な移動に対するスイスのコミットメントにかかっている。もし人口の上限設定が承認されていれば、スイスは自由な移動に関する協定を破棄しなければならなかった。
スイスの政府も経済界のリーダーらも、今回の投票結果について、EU非加盟国のスイスがヨーロッパと緊密な関係の維持を願っていることを示すものだとしている。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、結果を歓迎し、「スイス国民が意思を示した。EUとスイスは深い絆と強固なパートナーシップを共有している」と述べた。
移民非難を拒絶か
この投票結果で、スイスにおける家賃の高騰、過度の開発、公共交通機関の混雑、医療費の高騰といった懸念が解消されるわけではない。
スイス国民党のマルセル・デトリング党首は、今回の投票によって、「国民が解決策を求めており、解決された問題は一つもない」ことが示されたと述べた。
ただ、同党が国内問題の原因として移民問題に焦点を当て続けることに、多くの有権者はうんざりしている可能性がある。有権者らは、移民を非難することや移民管理の厳格化が、問題解決の道だとはまったく確信していないとみられる。

投票を前に、人口の抑制をめぐって対立する見解をもつ若手政治家2人がBBCの取材に応じた。
ベルン州議会でスイス国民党を代表するニルス・フィヒター氏(29)は、「私たちはコントロールを失った」、「抑制のない移民流入により、スイスはもはやスイスでなくなろうとしている」と述べた。
一方、社会民主党のベルン市議会議員ヘリン・ゲニス氏(31)は、「家賃水準を決めるのは移民ではない。健康保険料を引き上げるのも移民ではない。住宅、インフラ、社会投資に関して政治的な決定をするのも移民ではない」と主張。「移民というレンズ」を通して問題を見ることは、「解決ではなく分断につながる」と話した。
都市や観光地で大きな反対
投票結果は、都市と地方で顕著な違いが見られた。地方と比べ大きな移民コミュニティーがある都市部では、圧倒的に反対が多かった。首都ベルンでは反対票が約84%に上った。
主要な観光地でも、人口制限案への賛同は示されなかった。そうした土地では、ホテルやレストランが外国人労働者に依存している。
スイスの雇用主らも、労働力不足や、欧州全域の熟練労働者らを雇えなくなることを懸念した。
スイスのホテル従業員の半数は移民となっている。病院や介護施設も外国人労働者に依存している。
スイス国民党は、移民によって病院の病床や学校の定員を増やす必要が大きくなっていると主張し、移民を制限することでその圧力を緩和できると訴えた。
これに対し反対派は、スイスの人口の2割が65歳以上であることから、こうした主張は現実に即していないと批判。高齢化社会に対応するための人材と資金を若い労働者と納税者に負担させているが、スイスはそうした若い労働者を自国で生み出せていないとした。








