NATO、加盟国除名の「規定はない」 アメリカがスペインの資格停止求めるとの報道受け

スーツとネクタイ姿のサンチェス首相が記者会見で発言している。背後にはスペインの国旗が置かれている

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画像説明, スペインのペドロ・サンチェス首相
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北大西洋条約機構(NATO)当局は24日、同盟の条約に加盟国を資格停止または除名する規定は存在しないと述べた。アメリカがイランとの戦争への立場をめぐり、スペインの資格停止を求める可能性があるとする報道を受けたもの。

ロイター通信が報じた米国防総省の内部メールによると、アメリカ政府は、イランとの戦争を支持しなかったとみなしたNATO同盟国を処罰することを検討していたとされる。

検討内容には、南太平洋にあるフォークランド諸島に対するイギリスの領有権の主張について、アメリカが立場を見直す可能性も示されていた。イギリスの海外領土であフォークランド諸島については、現在もイギリスとアルゼンチンの間で主権をめぐって論争となっている。

NATO当局者はBBCに対し、同盟の創設条約は「NATO加盟の資格停止、または除名に関するいかなる規定も想定していない」と述べた。

米国防総省のキングズリー・ウィルソン報道官はBBCに対し、「戦争省(国防総省)は、同盟国がもはや張り子の虎ではなく、それぞれの役割を果たすようにするため、大統領が実行可能な選択肢を確実に持てるようにする」と述べた。

また、アメリカがNATO同盟国のために「ありとあらゆること」をしてきたにもかかわらず、「同盟国は私たちのためにはそこにいなかった」と話したうえで、「そのような内部協議について、これ以上のコメントはない」と付け加えた。

米・イスラエルは2月28日にイランを攻撃。イランはその後、要衝であるホルムズ海峡を通過する船舶を制限した。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、NATO同盟国を、この戦争でより大きな役割を果たすことに消極的だとして繰り返し批判してきた。

アメリカは、スペイン国内にロタ海軍基地とモロン空軍基地の二つの軍事基地を置いているが、スペイン政府はアメリカに対し、イランへの攻撃に自国領内の空軍基地を使用することを認めていない。

ロイター通信は匿名の米当局者の話として、米国防総省の内部電子メールには、イランでの戦争に向けたアメリカへのアクセス​権、基地使用権、領空通過権(ABO)の付与は、「NATOにとってまったくの最低限のこと」と書かれていたと報じた。

電子メールではまた、協力不足と受け止められている状況への報復の可能性として、フォークランド諸島など、長年にわたるヨーロッパの「帝国的領有物」に対するアメリカの外交的支援を再評価することが示唆されていたという。

今回の報道について、スペインのペドロ・サンチェス首相は記者団に対し、「我々は電子メールを基に仕事をすることはない。今回のことでは、アメリカ政府による公式文書と公式の立場に基づいて行動する」と述べた。

そのうえで、スペインは「同盟国との全面協力を支持するが、常に国際法の枠組みの中でだ」と付け加えた。

イタリアのジョルジャ・メローニ首相は24日、NATOの同盟は「力の源」だと述べ、同盟各国に結束を維持するよう促した。

メローニ首相は、キプロスで開かれた欧州連合(EU)首脳会議の場で記者団に対し、「NATOにおける欧州の柱を強化するために取り組まなければならない。そしてそれは、明確に、アメリカの柱を補完するものでなければならない」と語った。

ドイツ政府の報道官は、スペインの加盟資格は問題になっていないと述べた。

ベルリンでの定例記者会見でこの報道官は、「スペインはNATOの加盟国だ。そして、それが変わる理由は見当たらない」とした。

こうしたなか、アメリカのピート・ヘグセス国防長官は24日の記者会見で、イランとの戦争でアメリカを支援していないとして、ヨーロッパの同盟国を再び厳しく批判した。

ヘグセス氏は、「我々はヨーロッパを当てにしていない。しかし、ヨーロッパは我々以上にホルムズ海峡を必要としている。ヨーロッパで口先の議論や派手な会議を重ねることをやめ、船を出し始めた方がいいかもしれない。これは我々の戦いというよりも、はるかに彼らの戦いだ」と述べた。

さらに、「ヨーロッパとアジアは、何十年にもわたって我々の保護から利益を得てきたが、ただ乗りの時代は終わった」と付け加えた。

ロイター通信が取材した当局者によると、米国防総省の内部メールでは、他の選択肢として、「問題のある」国々を、同盟内の重要な役職から外すことも検討されていたという。

一方で、アメリカの同盟離脱の可能性や、ヨーロッパでの基地閉鎖を提案といったものは示唆されていなかったと、この当局者は語った。