英ケンブリッジ大の元教授を遺体で発見、盗作疑惑の渦中に

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トム・マカーサー記者、ブランウェン・ジェフリーズ教育担当編集長
英ケンブリッジ大学の元教授で、盗作疑惑の渦中にいたジェイソン・アーデイ氏(41)が14日、死亡しているのが発見された。
救急隊によると、ロンドン南部バタシーにある住宅で14日午後、男性が意識不明の状態で発見された。ロンドン救急サービスからの通報を受け、警察が現場に入った。
ロンドン警視庁は声明で、「現時点では、彼の死は予想外のものとして扱われているが、不審な点はないとみられている」と述べた。
アーデイ氏は先週、盗作疑惑と経歴に関する疑惑が指摘されるなか、ケンブリッジ大学の教育社会学教授を辞任したばかりだった。同氏は疑惑を否定していた。
アーデイ氏の家族は声明の中で、「素晴らしい父親、パートナー、兄弟、叔父、そして息子を失ったことに衝撃を受けている」と述べた。
「ジェイソンにとって、この誤情報キャンペーンはあまりにも過酷だった。彼は温厚な人で、常に誰の中にも良い面を見出そうとしていた」
ケンブリッジ大のデボラ・プレンティス副学長は、「この悲劇的な知らせを聞き、大変悲しんでいる」、「この非常につらい時期に、ジェイソン・アーデイのご家族とご友人に心からお悔やみ申し上げます」と述べた。
ルーシー・パウエル教育相は、訃報を聞いて「深い衝撃と悲しみ」を感じたと述べ、たとえ大きな話題になっている事柄でも「そこには周囲に愛されている生身の人間が関わっていることを忘れないでほしい」と人々に訴えた。
アーデイ氏は盗作を否定したが、一部の学術研究に誤りがあったことは認めている。先週には、これをめぐる最近の論争が「容赦ないレベルの世間の詮索と個人攻撃」につながったと述べた。
この騒動は、自らを「人種リアリスト」と称する学者のネイサン・コフナス氏が、アーデイ氏の研究に多数の盗作事例を発見したと主張したことから始まった。コフナス氏は2024年、ケンブリッジ大学の職を解任されている。
アーデイ氏は、自身の初期の学術研究におけるいくつかの誤りは、自閉症が理由で、情報理解を模倣に頼っていたことが原因だと述べた。また、同様の精査を行えば、他の学者の研究にも同様の誤りが見つかるだろうと指摘した。
7月31日付の英紙タイムズでアーデイ氏は、「ここで話しているのは学問の世界のことだ。私は誰かを殺したわけではない。私が経験してきた残酷な仕打ちや、私を嘘つきや空想家のように仕立て上げる行為は、全く容認できない」と語っていた。
ケンブリッジ大史上最年少の黒人教授
アーデイ氏は2023年に37歳で、ケンブリッジ大学史上最年少の黒人教授に任命された。このことは当時、進歩的な出来事として称賛された。
アーデイ氏は先週に辞任を発表した際、自身への厳しい詮索による「個人的な負荷」が「大きすぎた」と述べた。
「批判は学術生活において避けられないものだが、私が経験したことは、学術的な意見の相違をはるかに超えたものだ」
「執拗(しつよう)な非難、臆測、そして世間の論評は、私自身と私の愛する人々にとって、深刻な負担となっている」
そのうえでアーデイ氏は、自分が辞任したからといって、「私を取り巻く様々な言説を受け入れたと誤解されるべきではない」と強調していた。
ケンブリッジ大は当初、アーデイ氏の博士論文や学術誌に掲載された一部の研究に関する盗作疑惑について、リヴァプール・ジョン・ムーアズ大学および関係する学術誌が調査を行ったと述べていた。
2015年にアーデイ氏に博士号を授与したリヴァプール・ジョン・ムーアズ大学は、同氏は盗作をしていなかったと結論した。
ケンブリッジ大は今週初め、アーデイ氏の教授任命に関する独立調査を開始すると発表した。
プレンティス副学長はこの時、大学職員宛ての書簡で、「ジェイソン・アーデイの任命に関して、大学内外から寄せられている懸念を十分に理解しており、私も同じ気持ちだ」と述べていた。
「その指摘の通り、調査は徹底的かつ透明性のあるものでなければならず、ケンブリッジ大学内外の著名な学者によって、独立して実施される予定だ」
ケンブリッジ大は当時、若い黒人教授としてのアーデイ氏の任命を大いにアピールしていた。イギリスの学界では、注目される黒人研究者は少なく、イギリスの大学教授のうち黒人はわずか1%に過ぎない。このため、こうした任命は常に非常に大きな意味を持つ。
ケンブリッジ大は今後、アーデイ氏を非常に重要な地位に就かせたことで、保護義務を含むより重大な問題について、説明を求めらると予想される。
この件はまた、アーデイ氏が公然と迫害されたと感じる人や、そもそも同氏が任命されるべきだったのか疑問視する人など、様々な方面からの怒りの的となる可能性もある。
憎悪(ヘイト)犯罪への法的措置を支援する「グッド・ロー・プロジェクト」のジョリオン・モーム氏は、アーデイ氏の死は「悲劇だ」と述べた。
「彼が教授を辞任した後も執拗に追い回すことに、一体どんな公共の利益があったのか理解できない。報道機関がどのようなリスク評価を行ったのかも理解できない」

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アーデイ氏はもともと体育教師として働いていたが、リヴァプール・ジョン・ムーア大学で博士号を取得した後、英ダラム大学の准教授、英グラスゴー大学の教育社会学教授を歴任した。
グラスゴー大学も、アーデイ氏の過去の学術研究に関する調査を開始すると発表している。訃報を受けた声明で同大学は、元同僚の死に「衝撃を受け、悲しんでいる」と述べた。
アーデイ氏の以前の雇用主の一つであるダラム大学は、同氏を「親切で温かい人柄で、博士課程の学生に機会を提供するために積極的に尽力した人物」と評した。
アーデイ氏は先週末、自身の回顧録「Great And Unfortunate Things(直訳:偉大で不運な出来事)」の販売促進イベントをキャンセルした。
出版社のサイモン・アンド・シュスターは以前、同著が8月27日にイギリスで出版されると発表していた。アメリカでは今週初めに発売された。
この回顧録でアーデイ氏は、自分が11歳まで言葉を話せず、18歳まで読み書きができなかったことから、その後「あり得ないような成功と胸が張り裂けるような挫折」を何度も経験し、最終的にケンブリッジ大学の教育社会学教授に任命されるまでの人生について書いていた。









